今井さんといえば、私が芝居を見始めたころは、既に名古屋の小劇場−アングラ演劇を切り開いてきた人として「伝説」の人として知られていました。
私が観た今井さんの作品で、印象深いのは今池アカデミー劇場で上演された『タンゴ・冬の終わりに』、ロマン座での『ジャンヌ・ダルク物語裁判ーひばり』(両方とも廃屋となった映画館での上演)、『ヴァージニア・ウルフなんか恐くない』、そして俳優としてのリアの会『かもめ』のトリゴーリン。
七ツ寺共同スタジオ25年史で久保則男さんが、『今井良實と新劇』というタイトルでの評論がありますが、私が今井さんの舞台と出会ったのは、今井さんが「新劇」に対しアプローチしていた時期だったのでしょう。シアター36や・紅連都市などの活動は残念ながら歴史としてしか知らないことですが、今井さんの舞台には、アングラの匂いのする新劇(ありきたりな書き方ですが)が伝わってきたように思えるのです。今井さんと面識のない私ですが、今の混沌とした時代だからこそ、さらに芝居を作り続けていただきかったです、残念です。ご冥福をお祈りします、