会員が世話をする、世話をされるという関係にとどまることなく、それぞれが会員として会に関わることの意味やその困難さを感じる。
次に、会の理念についての論議。今回の議題にもあった「日本演劇の民主的発展」とはどういうことなのか、ということを中心とした議論だったと思う。ずっと前から理念としておさえられている九州は別として、「民主的発展」とは具体的にどういう事なのか、その中身についての論議は必要だろう。聞こえの良い「民主的」という言葉で表現されてしまうと、すべてが解決されたように見えてしまうように思える。(名古屋演鑑は「民主的発展」という理念は今のところ掲げていない。具体的な活動を通じての議論が必要だと思っている)
それに関連する形で、横浜からの鑑賞会における「サークル」の意味についての問題提起があった。60年代から70年代にかけて、いわば「団塊世代」が花咲かせてきたものだった。いまそれがかつての時代と違い、人と人との関係が希薄化していくなかで、新たな「サークル」の意味は何なのかということだったと思う。
あと大きな問題として、最近になって、70年代に立てられた「公共ホール」の立替や耐震化される中で、いくつかのホールが廃館になることが起こっている。ここでも以前紹介した、豊橋の勤労福祉会館の廃館問題もその一つ。(2008年に廃止の方向、豊橋にはこの規模のホールは他になく、廃止になった場合、演劇・舞踊・コンサート等が開催されなくなる)
今総会では、市民の運動の力で存続の方向になった。旭川市公会堂の取り組みの発言もあり、鑑賞会を含め利用者の団体や市民の運動として、取り組んでいくことの重要性を再認識した。
総会は、最後に役員を選出したが。17年間全国演鑑連事務局長を務めた、関昭三さん(川崎市民劇場)が今総会をもって退任。新たに、高橋武比古さん(ねりま演劇を観る会事務局長)が新事務局長に就任した。
長い間にわたり、激務を務められた関さん、お疲れさまでした。 総会は午後12時に終了。そのあと下北沢の東演パラータで、劇団東演『臨時病室』を観劇。
今回は演鑑連総会にあわせて特別上演。(東演制作高橋さんのブログ)
2004年9月例会『長江』の作者の沈虹光さんの作品。
全く違うところで生きてきた二人の老人と、世代が違う若い看護師の3人の芝居。人と人との関係が希薄になり「自分の世界と違う人」との出会いというものがほとんどなくなってきている中、心を通じ合わせるということはどういうことなのか、考えさせられる、幕が下りた後は温かさがじんわりと伝わってくる舞台だった。
終演後、劇団の皆さんと乾杯。2時間ばかり飲んだ後、名古屋へ。